832 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 16:13 ID:Ll458pvq
前半部分は出来たのでアップします
後半は12時ぐらいに完成の予定
R君が居合いをすることになりました。
発端はこうです。私の家は高校時代にオーストラリアからの留学生を受け入れてました。
この留学生J君は非常に勉強熱心で1年間の留学の間に柔道の黒帯や、日本料理の技術の取得(私のいた
高校は調理科と普通科が併設されていました)など様々な日本文化を学び、意気揚々と本国へ凱旋してい
きました。この話をR君にしたところ
R君「負けてはいられない、僕は居合いをやってみる」
生駒「なぜに居合い?」
R君「柔道より居合いの方が強い!!」
生駒「………まあ、そうだな」
R君「というわけで、刀を貸してくれ」
ということで、とある好事家のお爺さんから知恵と勇気と火力を使って分捕った刀を貸してあげることに
しました。
一 銃砲又は刀剣類を譲り渡し、貸付け、若しくはこれらの保管の委託をし、又はこれらを他人をして
運送させる場合には、常に登録証とともにしなければならない。(以下略
この登録証を見てR君はとんでもないことをいいます。
R君「もっといい刀を貸してくれ」
生駒「はあ?(私の伯州国住家弘じゃ不満か)」
R君「正宗とか村正とか」
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834 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 16:15 ID:Ll458pvq
持っているかー!!!そんな凄い物!!!と口で言ってもR君は納得しないだろうと
これまでの経験の中で学んだので、現実を直視させてあげることにしました。
ということで、四条通りにある刀剣店(潰れちゃいました)に連れて行きました。
生駒「これが正宗だ」
R君「セフィロス、セフィロス!!」
生駒「………(正宗をほしがったのはそれが理由か)」
この刀剣店の目玉である相州正宗は、これがまた何というかFF7のセフィロスが
使ったような斬馬刀です。私も最初見たときはびびりました。
全長1、6Mくらいもあるどえらい刀です。
R君「で、これいくら?」
生駒「売り物ではないのだが、当時の値段で600貫だ」
R君「だから、いくらなの?」
生駒「貫=両、現在の値段に直すと約2400万円」
R君「……」
生駒「脇差だがそこに村正もあるぞ」
R君「村正!村正!!」
生駒「こっちは売り物だ」
R君「………」
生駒「どうしたR君、正宗の1/12の値段じゃないか。遠慮なしに買いたまえw」
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835 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 16:15 ID:Ll458pvq
こうしてR君に現実を見せつける事に成功。
R君は私の刀を使って居合いを始めました。最初はすぐ飽きるだろうと思っていたの
ですが、意外や意外、R君はどっぷり居合いに嵌りました。居合いの師匠である
T先生の影響もあって短歌にも興味を示し始めました
(T先生は文武両道を絵に描いたような人で、歌会始にも出席されたこともあります)
R君「そろそろ、自分の刀がほしい」
生駒「私の刀はやらんぞ」
R君「自分で買うから、楽して儲かるバイトを紹介して♪」
生駒「そんなもんあるか!!」
R君「(´・ω・`)」
社長「私に任せたまえ!!」
たまに貼られている葬式のAAを見れば分かるように、あの祭壇を作るには非常に
労力を必要とします。社長は祭壇の設置と撤去を主な仕事としたバイトをしないかと
R君にもちかけました。R君は大喜びでその仕事を引き受けます。
(日給1万ぐらい、たまにご祝儀?が出ると1万〜2万になる)
それが、あんなことになるとはその時は誰一人として思わなかったのです。
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46 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 23:35 ID:Ll458pvq
会話シーンは装飾過剰気味です。5割ほど差し引いて想像してください
ところで
”棺の守り”というものがあります
親族が線香の火を絶やさず、寝ずの番で詰める、というアレです。
本来は慎ましく行われるものなのですが、地方ルールもあったりします。
で、ここの地方ルールは「近所の人が酒盛りをしながら線香を絶やさない」という、
葬式だか祭りだかよく分からない地方ルールを採用?しています。
ということで、我々もその御相伴にあずかる事(基本的には禁止)が時たまあります。
その日は土曜日、休日にもかかわらずその日は葬式が一件しかありませんでした。
そんな夜のことT君がまたしても私のところに駆け込んできました。
T君「生駒さん大変だ!!R君が線香守り(棺の守り)の人にとっ捕まった」
生駒「よく、あることだな」
この場合の”とっ捕まった”とはお酒の相手をさせられているという意味です。
ちなみにR君の仕事はすでに終わっていました。
T君「いや、それが、その、今日のお通夜はO地区の方のお通夜じゃないですか!!」
生駒「げっ!!たしかそうだったな……」
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51 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 23:37 ID:Ll458pvq
O地区
それは恐ろしい地区です。
通夜で坊さんが来たら、酒を振舞い。その坊さんを酔い潰すことを習慣(誇り)?とする、
なんとも開拓精神に溢れた素晴らしい地区。
葬式の現場が自宅から葬儀場に変わった今でも、その開拓精神は変わってはいません。
むしろ、拡大解釈され、葬儀場の人間にまで酒を振舞う始末(仕事に支障きたしますから
1杯程度)。
知り合いの坊さん、初瀬さん(仮称:日露戦争で蝕雷沈没)に話を聞いたところ
初瀬「大晦日のときにO地区でお通夜があったんだけどね。その時にお酒を振舞われて…」
生駒「お銚子何本くらい飲んだの?」
初瀬「………1本」
生駒「1本くらいならいいじゃないか」
初瀬「一升瓶だったんだよ!!」
生駒「Σ( ̄□ ̄;
初瀬さんはその後、除夜の鐘を突きながらゲーゲー吐いたそうです。
頭は痛いは、目は回るはで何回鐘をついたかは覚えてなかったと、苦笑しながら
教えてくれました。
追記:初瀬さんのことを生臭坊主なんて言ったらいけません。坊さんは檀家さんに
何かを勧められたら、それは、お布施になるので基本的に何でも頂けなければ
ならないのです。これは根源仏教からの伝統です。
そんな、とんでもないO地区の方にR君が捕まりました。
生駒「そ、それは、どうしようか(汗じと」
T君「さっき見たら、まだ2杯目でした。今ならまだ間に合います」
生駒「……T君、もしR君をあの場から連れ出したら、O地区の方々の矛先はどこへ向く?」
T君「それは、僕たち……って、生駒さん!まさか!!」
生駒「R君がんばれ♪骨は我々が拾ってあげよう♪」
T君「生駒さん、それ洒落になっていません」
よく考えなくても私が全て悪いんですよね。
っていうか、もう一つのスレに書き込むべきではなかろうか?
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53 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 23:38 ID:Ll458pvq
ということで、R君を生贄にして我々は仕事を続けました。
もちろん斥候を出すのも忘れてはいません。
生駒 「わが社の業務を守るため〜♪3つの僕に命令だ〜♪というわけで、SちゃんGO!!」
Sちゃん「らじゃー」
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Sちゃん「一升瓶が5本空になっています。R君はまだ顔つきもしっかりしています」
生駒 「あと1時間は持つな。この書類を終わらすぞT君」
T君 「やっぱり、まずいんじゃないでしょうか?」
生駒 「君がR君と代わるかい?」
T君 「がんばれR君♪」
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Sちゃん「……R君、顔つきが全く代わっていません……うぷ」
生駒 「Sちゃん!まさか、被弾したのか!?」
Sちゃん「すいません、どじっちゃいました」
生駒 「衛生兵! 衛生兵!!」
T君 「S!!水だ、飲め!!」
生駒 「くっ、代わりの斥候を出すしかないな。T君GO!!」
T君 「生駒さんが行ってくださいよ」
生駒 「いや、私は指揮官だし♪」
T君 「汚いよ!!これだから大人は!!!」
なんだかんだ言ってT君はのりのりです。斥候に行ってくれました。
T君 「T君、まったく顔つきが変わっていません呂律も回っていません」
生駒 「何本一升瓶を空けた?」
T君 「ペースは落ちて7本です」
この時、我々は気づくべきだったのです。顔色は変わらなくても確実に酔っている人という存在を。
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54 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 23:39 ID:Ll458pvq
仕事が終わりかけて、それは唐突に始まりました。
R君 「花も嵐も〜♪踏み越えて〜♪ゆくが男の生きる道〜♪」
T君 「歌っている!!マイクを使って歌っていますよ!!」
生駒 「しまった!!あいつ、やっぱり酔っていたか!!」
待機所からはやんややんやと盛り上がる声が、だけど、このままにしておくわけにはいきません。
R君 「まだまだ〜いくいく〜♪愛染桂〜♪」
T君 「あれは”旅の夜風”。戦前の歌ですよ!!よく知っているなR君」
生駒 「そんなことはどうでもいい!!はやく止めないと」
待機所へ着いた我々、そこであるものを見ることに……
その、あるものとは…
クレヨンしんちゃん風にいうところのぞーさん。新シャア板でいうところのお稲荷さん。
生駒 「なんで全裸で歌っとるんじゃーー!!」
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後日、遺族の方々に平謝りすることになりましたが、遺族の方々は笑って許してくれました。
なんでも、R君の歌っていた”旅の夜風”は亡くなった方の青春時代の流行歌だったらしいです。
R君はその歌をお爺さんから習ったと言ってました。
日本と韓国、国境を越えて……
書いてて恥ずかしくなってきた。まあ、これも一種の日韓交流ということで
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56 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 23:40 ID:Ll458pvq
後日談
社長「君たち、給料3割減給」
生駒「(´・ω・`)」
T君「(´・ω・`)」
ちなみにR君はお咎めなし(当然ですよね)、遺族の方々にはご祝儀?を弾んでもらいました。
この後、R君は韓国へ帰っていったわけですが(刀は結局買えませんでした)、
その後の再開の時の話は流石にスレ違いですね
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58 名前:生駒 ◆S3iyOiMLIA 投稿日:03/09/23 23:43 ID:Ll458pvq
私の体験した話は以上です
ついでに、これを機会に言っておきます
「R君、あの時はごめんなさい^^;」