会社潰れても関わらない
70-431氏 金型作れない 金型横流し




431 名前:マンセー名無しさん 投稿日:2005/03/26(土) 23:34:01 ID:SENSCvZS

昔あった小ネタを。 

私はゲーム会社所属。 
数年前、トレーディングフィギュアの流行に伴い、うちで出したゲームキャラを
フィギュア化することになりました。原価の問題で国内生産は無理。
仕方ないので、ツテを頼って中国にある、韓国系の工場で生産を行うことになりました。 
さて。 
フィギュアの制作は、大雑把にいうと 

 1:原型の制作 
 2:原型の監修/修正 
 3:パーツ分割した原型を担当が工場に持ち込み 
 4:金型生産 
 5:テストショット/修正 
 6:彩色サンプル/修正 
 7:量産 

といった流れになります。 
んで、テストショット完成の前日、担当が現地入りしてテストショットの現地チェックを
行うことになったのですが 


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435 名前:マンセー名無しさん 投稿日:2005/03/26(土) 23:42:49 ID:SENSCvZS

担当(うちの社員)から切羽詰った声の国際電話。 
話を聞けば「パーツが足りない」「組み立てられない」「原型師の書いた説明図と違う」 
ナニをいってるのかぶっちゃけ理解不能。30分近く話をして、ようやく内容を掴んだのですが 

「原型師が、分割状態で納品したパーツの組み合わせ方を指定した説明書どおりに組み立てられない」 
「説明書と付き合わせると、パーツの数が足りない」 
「説明書と形状が違うパーツがある」 

慌ててテストショットのパーツを並べた写真をとり、こちらにあるデータとの数と形状の突き合わせ。 
結果。 

1:パーツが2つ足りない 
2:いくつかのパーツの形状が、こちらが納品した原型から改変されている 

社内騒然。 


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445 名前:マンセー名無しさん 投稿日:2005/03/26(土) 23:54:53 ID:SENSCvZS

上司と共に慌てて現地入り。 
先に現地入りしていた担当と合流し、工場側の説明を聞きます。 
向こうの説明は

「担当が持ってきた原型どおりに作った」
「多少寸法が変わるのは当然」
「だからこっちに手落ちはない」

といった対応を繰り返します。 
そして、テストショット完成と同時に入金する予定だった入金を即座に行うように、と強硬に主張。 

フィギュアに使うPV系素材は、金型への原料注入>冷却時点で収縮を起こします。 
また、金型起こしの際に多少のパーツの寸法狂いが生じます。 
その程度の常識はこっちも理解しています。 
でも、パーツの形状そのものが変わる(収縮はしても幅が大幅に広がることなんてありえねー)とか、
そもそもパーツが足りなくなるなんてことはありえません。 
また、入金に関しても「手付金」「テストショット完成時」「商品納品時」の3分割で
入金する契約になっていました。 
しかし、現在「最初のテストショットが出てきた」だけで、そのチェック、修正、そして
承認が降りていない以上、「完成」していません。 
よって、入金の義務は生じません。 

我々が来るまで、工場側にさんざんに責め立てられていた担当を慰め、カリカリきている
上司を押さえ、工場側との交渉開始。 

そして明らかになったのは…… 


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455 名前:マンセー名無しさん 投稿日:2005/03/27(日) 00:09:27 ID:6007aPmd

昼は工場側の担当を締め上げ、夜は酒を飲ませて懐柔し、少々の金を握らせて
(ついでにオネエチャンも(笑))ようやく聞き出した結論は。 

・金型担当がパーツをひとつ破損した。 
・破損したパーツが納まる予定だった場所を隠すように、別のパーツをいくつか、
 幅を広げるように勝手に修正した。 
・この隠蔽工作のために時間を食ったので、もうひとつ足りないパーツ(かなり複雑な形状)を
 金型起こしする時間がなくなった。 
・よって、そのパーツは な か っ た こ とに し た 。 

_ト ̄|○ まさにウリナラクオリティ。 

この情報を聞きだした次の日。工場の責任者を詰問。 
見事にファビョってくれました。 

その場で上司共々席を立って帰国。帰国直後に韓国本社に対する訴訟。原型師に対する説明と謝罪。 
さらには、発売遅延の説明と流通担当予定だった他社への謝罪。内部スケジュール調整、
新しい工場の手配…… 

まる1ヶ月悪夢のような日々が続きました。終わった頃には担当と私は10キロ近く痩せ、
上司は過労で入院しました。 
……商品発売の告知を正式にしていなかったのがせめてもの救いでしょうか。 

後日談。 
訴訟には辛うじて勝ちました。しかし、賠償金の半分程度を取り立てた時点で、本社逃亡。 
以後、会社が潰れようとも韓国系企業とはかかわらねー、というのがうちの社是になりました。 


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472 名前:431 投稿日:2005/03/27(日) 00:24:57 ID:6007aPmd

長々失礼しました。 
もちろん、うちにも「金型時点でのチェック」を怠ったというミスがあったのは確かです。
ていうか、日本で金型屋(フィギュア以外なら、何度も金型起こすグッズは作ったことがある)が
そういう馬鹿をすることは一切ありませんでしたから。 

なお、このフィギュア自体は、香港の信頼できるエージェントを通じ、中国で生産を行うことで
何とか発売にこぎつけました。しかし、最終的には予定発売日から2ヶ月以上遅れ、このために
ちょっと旬を逃した形になって、想定していた利益を上げることはできませんでした(涙 
また、一番痛かったのは、原型師さんがかなり怒ってしまって、二度とうちの仕事を受けて
くれなくなってしまったことでしょうか……(遠い目 

あと、>460さんの 
>訴訟に勝った時点で会社だけでなく社長その他責任ある 
>役員全部に個人的な保証をさせて、逃げようとも追い込むくらいのことをやるのでしょうが。 
との指摘ですが、当時、そこまではしないだろう、という社長の判断で(個人補償にすると、
裁判が長引いてその間に逃亡されたり、裁判費用で会社に損害が大きくなる可能性を指摘された)
経営者への個人補償請求の条項は入れませんでした。 

……というか、賠償金といっても、そんな馬鹿げた額じゃなかったんですけどね。
日本円で7桁後半程度でしたし。