靴業界シリーズ3. 水牛のサンダル(秋入荷) |
九尾狐 ◆85KeWZMVkQ氏 |
1 |
2 |
3 |
4 |
679 名前:九尾狐 ◆85KeWZMVkQ 投稿日:03/09/12 04:17 ID:2KsFQfLs
普通、サンダルは夏に履く履物なので、だいたい春先から店頭にならぶように発注するものです。
こんな斜め上のことをしてくれるのは彼の国のケンチャナヨ精神のなせる技でしょう。
通常、サンダルは前年の秋頃のデザインが決定し、冬に生産されます。
今回の企画は水牛の革を使ったもので、皮製のわりにはかなり激安な商品です。
しかし、韓国には革靴の関税が極端に高く、製品価格の40%若しくは、5,000円以上という
税金がかけられてしまいます。これを回避するために品目を運動靴認定を受けて、
課税対象からはずすか、メーカーに割り当てられた非関税措置枠(TQ枠)を利用します。
このTQ枠というのは、毎年更新され、使用しないと翌年の枠が減らされるので、
TQ枠を使うために安い革靴を輸入する必要がありました。
さて、初めての水牛の皮を使うのですが、安かろう悪かろう的なところがあり、
仕上げ工程でどうもうまくいきません。
とりあえず韓国からはサンプルを送ってくるのですが、バイヤーがGOをなかなかだしてくれません。
そんなこといってるうちに、年があけてしまうのですが、価格を下げたことでなんとか受注することに
なりました。
------------------------------------------------------------
682 名前:九尾狐 ◆85KeWZMVkQ 投稿日:03/09/12 04:31 ID:dMXe4NyP
安作りの水牛皮のサンダルがラインにのるのですが、なかなかあがってきません。
小さい取引のため、わざわざ韓国まで足を運ぶことがないまま、納期に間に合わないということで、
この受注は流れてしまいました。もちろん、メーカーにもその旨を伝え、発注取り消しということを
伝えます。まぁ、メーカーはごねてはいましたが、極端な納期遅れであったため、オーダーNO.は
でていましたが、一方的に発注を取り消します。
やがて暑い夏が過ぎ、こんなことなど誰もが忘れていたときに、信じられないことがおきたのです。
別オーダーNO.で発注していたパンプスが入荷し、開梱すると見たことも無いサンダルがはいって
いました。箱を見ても品番はあってる。商品部からはパンプスと聞いていたので、不審に思い、
商品部に確認すると、入荷した品番はたしかに秋物パンプスに間違いないと言う。
結局、本社から商品部担当者と営業をよび、現物のチェックをしてもらいました。
商品部「これ、取り消しになった水牛のサンダルじゃないか?」
営 業「何?発注取り消してなかったの?」
商品部「何言ってるの?そんなのとっくに取り消してるよ。だいいち、品番がパンプスじゃないか。」
営 業「とりあえずメーカーに聞いてくれよ」
入荷するべき商品が入荷せず、売れないサンダルが入荷したので騒然となりました。
------------------------------------------------------------
685 名前:九尾狐 ◆85KeWZMVkQ 投稿日:03/09/12 04:47 ID:N60xVR6m
商品部「取り消しになっているサンダルが入ってきて、パンプスがはいってないんだけど、どういうこと?」
ニダー「ああ、遅くなったけどなんとか完成したから納品したニダ」
商品部「遅いも何も冬にサンダル履くバカがいるかよ!」
ニダー「でも、オーダーがでていたニダ」
商品部「そんなものとっくに取り消しだろうが!しかも品番ごまかすなんて悪質すぎるぞ!」
ニダー「ごまかしてないニダ。ちゃんと発注があったものに品番つけてるニダ。」
商品部「だから、その品番はパンプスだろが!」
ニダー「それは詭弁ニダ!発注があったのに受け取らないと契約違反ニダ!」
商品部「そのまえに納期遅れが契約違反だろ!」
もう無茶苦茶な理論です。私も直接話したわけではないので、どうやって決着つけたのかは
わかりませんが、商品部から社長に報告がいって、貿易部が返品処理をやっていました。
その後、秋に入荷されたサンダルは1週間後日本を離れ、韓国へと戻っていきました。
もちろん、そのメーカーとは取引を停止し、パンプスの発注も取り消しとなって国産の商品に
代替となりました。