状況!ガス!!!
元バイター氏  




64 名前:元バイター 投稿日:2005/08/04(木) 01:03:49 ID:I4KEw1Pp

こんばんは。 
二階堂経由総集編インデックスから来ました、キムチください。 

……というわけで、これも一応は韓国人と一緒に仕事をしたうちに入るであろう小ネタです。 
眠いので投下and away。 

私(♂)は10年ほど前、とある山奥の温泉で住み込みバイトをしていました。 
布団の上げ下げから料理の仕込み補助盛付け配膳から清掃まで。 
キツイ仕事でしたが、客も正月以外は多い日で10組程度。 
寂れかかった温泉村は、なかなかマターリとしておりました。 

そんな山奥に、ある日のこと、台湾からの団体客が。 
なるほど、顔つきは同じモンゴル系ですが、 
言葉はもちろん、服装のセンスや立ち居振る舞いにそこはかとなく微妙な違いが。 
そして、添乗員だけは殊更に違っていたのです。 

母国語しか話さないお客さんたちの言葉は、どことなく柔らかです。 
しかし、添乗員の話す片言の日本語は、どう聞いても耳障りなほど硬い発音。 
頭の中を「???」が駆け巡っておりました。 

さらにと言うか、こちらが本線と言うか、後で考えれば覆す事のできないほどの物的証拠なのですが、 
と に か く 体 が 臭 い 。 
お客さんたちも辛い物好きなのでしょう、多少は日本人とは違う臭いがします。 
し か し 添 乗 員 は そ れ 以 上 。 
お客さんたちの体臭を納豆に例えるなら、 
と に か く 添 乗 員 は シ ュ ー ル ス ト レ ミ ン グ 。 


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65 名前:元バイター 投稿日:2005/08/04(木) 01:04:28 ID:I4KEw1Pp

夕食の用意ができたので添乗員の部屋に告げに行くと、 
中から扉を開けられた瞬間、香りのカプセル怪獣が私の鼻にジャブのお見舞い。 
「ナニ?」と話かけられるだけで、香りのカプセル怪獣がストレート。 
布団を敷いていても、香りのカプセル怪獣は部屋中から攻撃してきます。 
膳を下ろしてくる仲居さんたちも「あのお客さん、何?」と、驚きの問い。 
その日の仕事が終わって風呂(客止めした大浴場)に入ろうとすると、 
脱衣場にも洗い場にも香りのカプセル怪獣が潜んでいました。 

圧巻は翌朝の事でした。 
お客さんを朝食へ追い出すと同時に布団を上げる段取りになっているのですが、 
その添乗員は「悪イケド入ラナイデクレ」と断ってきました。 
お客さんの都合で融通を利かせることはままあるし、 
一部屋ぐらいはチェックアウトした後でも構いません。 

各部屋の布団を上げ終わり、私たちも朝食を食べて一休み。 
下りてくる膳を洗っているうちに帳場から「チェックアウト完了。布団よろしく」の連絡。 
部屋の清掃は業者さんに委託しているので、迷惑はかけられません。 
添乗員が残していった香りのカプセル怪獣を通路に確認しながら、 
私ともう一人(♀)が急いで部屋に向かい、その扉を開けると……。 


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66 名前:元バイター 投稿日:2005/08/04(木) 01:05:16 ID:I4KEw1Pp

優しく出迎えてくれたのは、悶絶と気絶の双子の天使でした。 
その臭気の逞しさに圧倒され、私たちは文字通り悶絶(私)し、気絶(♀)してしまったのです。 
気がついたときは既に夕方……でもありませんでしたが、 
5秒ほど床でのたうち回っていた私が相方を介抱したぐらいですから、 
その凄まじく凄まじい凄まじさがお分かりいただけるかと思います。 

相方が意識を取り戻したところで、私は隣の部屋の内線電話から応援を求めました。 
おっとり刀で駆けつけてきた数名と一緒に、意を決して中に踏み込むと、 
布団の上にはおびただしいゲロの跡、枕元には食い散らかした柿の残骸、 
柿の皿代わりにされていた案内書(観光名所だの名物だのが書かれているアレです)は染みだらけ、 
得体の知れない液体で満たされたままの湯飲みのまわりにはキムチの空き容器、 
内線電話の本体にはハングルがボールペンで書かれています。 

そして極めつけは、黒く濁った湯(?)で満たされたままの内風呂。 
臭いの発生源の大元は、布団の上のゲロとキムチの空き容器とこの内風呂だと判明しましたが、 
 問1…何を洗ったら、このような色の湯ができあがりますか? 
 問2…その湯を抜きもせずに放置していく理由を100字以内で述べなさい。 
 問3…つーか、すべての行為の意味を述べろ。 


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67 名前:元バイター 投稿日:2005/08/04(木) 01:06:21 ID:I4KEw1Pp

窓を開放して帳場に報告すると、女将さんが飛んできましたが、 
入ってくるなりその美貌が見る見るうちに変化していくのを忘れておりません。 
とりあえず部屋の中の物すべてを運び出し、風呂の湯を抜いて立ち入り禁止に。 
相方の体調の事もあり、流れから全員で帳場へ行き、女将さんが仲介の旅行業者へ電話。 

電話機をスピーカーモードにして問い詰めたところ、やはり韓国の旅行業者が台湾で組んだツアーだったとのこと。 
しかも、ここへ来るまでの宿泊先から、既に同じようなクレームが続出だとか。 
韓国を通じて当の添乗員に注意してはいるのだが、これがまたのれんに腕押し状態、 
本来なら先に宿泊先へお詫びの電話を入れるつもりが、あまりの内容に怖くなってつい後回し……。 
それを聞いて激怒する女将さん、その場で提携停止を通告。 

午後になって麓の町から、専門の業者が部屋の清掃と消毒にやってきました。 
夜までかかっても染み付いた臭いがどうしても抜けきらず、1週間ぐらいは窓を開け放しにしておいてくれとのこと。 
1週間後にもう一度やってきて、再度の清掃と消毒、それに芳香剤を豪勢に設置していきました。 
あの光景と臭気の記憶から抵抗はあるものの、ようやく普通に入れるようになったのは、鼻が慣れてしまったせいですか? 

その後ひと月ほど、その部屋は開かずの間になっておりました。