賃貸物件専門不動産屋さん 2
690 名前:塗り仏 投稿日:03/11/22 00:35 ID:1WlK6RdQ
んじゃ、今日最後の話。
この不動産屋のバイトをしていたのは大学4年生の春です。
私は大学院への進学が10月頃に決まってしまったんですね。
卒論の提出が12月末だったのですが、これはもうかなり早いうちに
指導教授からOKを頂いておりました。
で、大学4年生ですから、就職する同級生も部屋探しに動き出すわけで
自然と何人かの同級生に部屋を紹介しました。
中でもAちゃんという某弱小出版社に就職が決まった女の子は、
堅実というか、安い給料なので風呂無しトイレ共同でもとにかく安い、
しかし会社に近いところを紹介してくれ、と行ってきました。
で、見つかったのが中板橋(東上線)、1K15,000円、交通至便、大山ハッピーロード
商店街も近くて便利!というなかなかの物件です。勿論、玄関共同、築30年。
大家さんが太っ腹なのか、資産価値なんか諦めているのか分からない、
70歳くらいの未亡人でした。とにかく部屋を埋めてくれ、国籍問わず!でした。
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698 名前:塗り仏 投稿日:03/11/22 01:14 ID:1WlK6RdQ
Aちゃんは会社にも交通便利(池袋なので自転車で通える)!と
大変喜んでいましたが、ご近所さんの顔ぶれは、今考えても笑っちゃうほど
ユニークでした。右隣に台湾からの留学生の女の子、左隣に韓国からの留学生の
女の子、と同年代のためか結構最初は仲良く過ごせたそうです。
外にも、正体不明のおっさんや、立教大学の学生さん、何故かアメリカ人や70過ぎの
大家さんの知り合いのおばあちゃんなんかがいました。
で、同年代の女の子3人、なかなか楽しくやってたんだそうです。
Aちゃんは青森の出身で、またしても下世話な話ですが、私の下半身がアツクなるような
小柄なかわいい子でした。自分でちゃんと慎ましく自炊して、私も肉じゃがとか
ごちそうになりましたが、Aちゃん自信をごちそうになることはついぞ出来ませんでした。
彼女はいつも帰宅すると自分で食事を作るんですが、
右隣の台湾の女の子の部屋からはいつも良いにおいがして、揚げ物や炒め物の
音がしてくるんだそうです。そして毎日、作りすぎるのか「○○いかがでしゅか〜」と
お裾分けをしてくれるんだそうです。Aちゃんと韓国の女の子に。
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699 名前:塗り仏 投稿日:03/11/22 01:15 ID:1WlK6RdQ
Aちゃんももとより料理は上手ですから、お返しに日本の料理をお裾分けします。
ですが、カンコちゃんはお裾分けしてくれないんだそうです。
あんまり料理しないのかな、と思ったんだそうですが、そうではないんですね。
毎日「じゃー」という炒め物の音が聞こえるんだそうです。毎日です。毎日「じゃー」。
朝も「じゃー」夜も「じゃー」。
それだけなら良いのですが、やれ醤油を貸してくれごま油を貸してくれと
とにかく食材・調味料を借りていくことが多く、貸しても帰ってくることが少なかったそうです。
でも、人のいい東北娘のAちゃん、あんまり怒りません。
ある時、タイワンちゃんとAちゃんがお裾分けがダブってしまいました。
二人は「3人で夕食会にしよう!」とカンコちゃんの部屋に二人で乗り込みました。
すると! 部屋にはシンクより明らかにはみ出るほどの量のキムチ壺。臭いもかなりきつく、
更に凄いのはレンジ周りの壁。韓国の辛い味噌や油がものすごい量でこびりついています。
さすが確認できるだけでも最低一日2回、毎日炒め物をしているだけあります。
(つうか、掃除しないのか?という疑問は私は持ちましたけれども)
そしてあまりにも汚いレンジ周り。生ゴミと化した野菜の切りくずなどが散乱していました。
そしてキムチ。ある時からキムチが漬け上がったのか、お裾分けのお返しが、毎回キムチ。
タイワンちゃんにもAちゃんにもキムチ。二人ともあまりの
バリエーションのなさに困ったんだそうですが、文句言わずお裾分けは
3年間続いたそうです。ただ、カンコちゃんはなかなか食器やタッパを返してくれないのが
二人の悩みでした。
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700 名前:塗り仏 投稿日:03/11/22 01:16 ID:1WlK6RdQ
3年後、Aちゃんは同僚と結婚することになり、新居に移ることになります。
そして大家さんに挨拶に行くと、こう言われたそうです。
「あなた、お隣さんとうまくやってくれてとても嬉しい。お部屋もきれいに使ってくれるし。
でもね、台湾さんのお部屋はまだ何とかなると思うけれども、カンコちゃんの部屋は
もう誰にも貸せないわね。臭いがしみちゃってるし、古い建物だし、これで最後かしら。」
タイワンさんもAちゃんの旅立ちを祝って、Aちゃんの旦那さんとAちゃんにとびっきりの
飲茶をごちそうしてくれました。そこにカンコちゃんも同席、最後もやはりキムチで、
持ってきてくれたタッパはAちゃんのミッフィーちゃん柄のタッパだったそうです。
ちなみに、毎日「じゃー」と痛めていたモノについてはとうとうなんだったのか
分からなかったそうです。 どっとはらい。
何かほのぼのネタになってしまいましたが、前のネタがくらかったので
勘弁してください。